最近、かなり接近した間隔で、〈文体の確立〉に関する二つのテキストを読んだ。一つは清水義範氏の『大人のための文章教室』、もう一つは『伝わるWeb文章デザイン100の鉄則』の著者・益子貴寛氏のblog『WEB mini ブログ』である。
テキストの中で両氏は、世に流通する文章が〈です・ます〉調と〈だ・である〉調に分けられることに触れ、その上で、「自分の文体を確立するのであれば〈だ・である〉を選ぶこと」をすすめている。その理由はこうだ。
〈です・ます〉体は、私が私人として特定のあなたに語る文章である。そして、特定のあなたは、格上か、または格下だということが意識されている。
(中略)
あなたは文章を書こうとする時、無意識のうちに〈です・ます〉体か、〈だ・である〉体を選んでいるだろう。だがその二つには、覚悟の違いがあるのだ。それをきちんと認識した上で、なるべくならば〈だ・である〉体の文章を書くようにするのがいいだろう。
清水義範『大人のための文章教室』p.68
自分なりの文体を確立したいという人は、なるべく「だ・である調」で文章を書くことをお勧めしたい。その人のパーソナリティにもよるが、「です・ます調」は肝心なところで逃げ手が打ちやすいからだ。長い目でみると、これは結構大きな力の差になると思う。
益子貴寛『WEB mini ブログ』―[101]「文体の確立」という難題
はたして、そんなに簡単に割り切れるものなのだろうか。
文体を確立させるには、「文体」という言葉に含まれる〈目的〉を吟味する必要がある。文章を通して〈思想を表し〉たいのか、〈キャラクターを滲ませ〉たいのか。これを考えないまま半ば機械的に〈だ・である〉調を選んでしまうと、のちのち、文章表現の目的と文体との板挟みに遭うはめになる。
自分が文章を使って伝えたいものは何か――この点に立脚して〈です・ます〉調、あるいは〈だ・である〉調を選ぶことが、文体の確立に至る第一ステップなのだ。
……てな文章を、二つのテキストに触発されて書いてみたわけですが、このblogには何とも不釣り合いなこと! それには、この場が「会社案内じゃわからない、スタッフのキャラクターをにじませる」目的があるからなんですけど。
それにblogというもの自体が、どちらかというとパーソナルな要素の強いメディアですよね。そういった性質も、〈不釣り合いぶり〉にターボをかけてる要因じゃないかと思うわけです。
上の文章では触れませんでしたが、〈文章を載せるメディアの性質〉を見極めることも、文体を選ぶ上での大切な要素なんじゃないでしょうか。
author : カウベルてつこれであなたも“牛通”に! 世界の「牛ニュース」(β版)
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.cowbell.jp/cgi-bin/mt_cowbellog/mt-tb.cgi/2155