伝聞の伝聞かよ!というツッコミはさておき。
国民文化祭絡みの懇親会でまみえた大林宣彦監督に、こんな話を聞きました。文筆業に足を踏み入れようとしていた永氏に、花森氏が贈ったアドバイスがこれ。
「永くん、原稿用紙はね、2枚目からが勝負なんだよ。1枚目は書き手の思いが詰まりすぎていて、余計な前置きが書いてあることが多い。だから1枚目は思い切って捨てること。2枚目から読み始めてダメな原稿だったら、それは永くん、キミは物書きに向いてないということなんだよ」
聞いてる時点でへべれけだったので(監督に失礼ですね)枝葉の部分が違うかも、なんですが、たしかこんなニュアンスだったかと。
「1枚目を捨てろ」とはまた大胆なことをおっしゃるなあ、このスカート爺さん。
でも、言わんとしていることは理解できますよ。書き出しの100~200字って、「ここで読者を掴んで、一気に引き込んで」みたいな一種の〈計算〉がはたらく部分なので、どうしてもギミックをぶち込みがちになってしまう。花森氏が指摘する〈詰まりすぎた書き手の思い〉とは、おそらく書き手のそういう傾向を指してるのだと思います。
以前のエントリーでも書きましたが、規定文字数の倍くらい書いて削る、という構築プロセスをとることが多いので、〈削り〉に困ったらこの〈花森式〉を試してみましょうかね。
もっとも、花森氏はこんなことも言ってたりするわけで。暮しの手帖300号記念『花森安治』の「花森語録」より。
最初の五行に神経をつかえ
▼文章について人一倍厳しかった花森は「読者にはつまらない文章を読む義務はない。最初に食いつかせないといけない」と、特に出だしにはうるさかった。「なるべく漢字を使うな」「親しい人に読んで聞かせてみろ」とも言った。
暮しの手帖300号記念『花森安治』 p.226
ま、バランス感覚が大事、ってことですかな。
author : カウベルてつこれであなたも“牛通”に! 世界の「牛ニュース」(β版)
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