
愛知県は岡崎市で開かれた、映像作家・森達也さんのドキュメンタリー上映会+講演会を訪問。動機は後ほどくわしく書きますが、『放送禁止歌』『ドキュメンタリーは嘘をつく』『いのちの食べかた』『ご臨終メディア』などの著書に薫陶を受けまして、「こりゃ一度映像作品も見なきゃいかんな」と遠征したわけです。
主催は、真宗大谷派岡崎教区の教化小委員会のみなさん。宗派的には〈おにしさん〉な森川家にもかかわらず、大谷派の寺院にノコノコ出かけちゃうトンチンカンぶりを発揮したわけですが、いいんです。「公開社会問題学習会」とのふれこみだったので。遠征組にしても、ワタシだけかと思ってたら、関西大学の学生がわざわざ大阪から来ていたり。数えてはないけど、60人くらいのキャパのホールがほぼ満席だったんじゃないかな。
上映作品は、1999年にフジテレビ「NONFIX」枠でオンエアされた『1999年のよだかの星』。森さんのウェブサイトから解説文をちょっと借りますと、
宮沢賢治の童話「よだかの星」にインスパイアされた森達也が、絵本と実写とのコラポレーションという手法で動物実験というジャンルに挑んだ作品。
あらゆる化学物質の商品化の際に義務づけられる動物実験は、特に製薬や化粧品など、大手クライアントの公にされない業務に触れざるを得ないため、テレビ業界ではやはり「タブー」に近いジャンルとなっている。
しかし動物実験の是非を正面から問うのではなく、愛護団体や実験研究者たちの内面の葛藤を描くことで、「生の営み」の絶対的な矛盾が呈示される。
というような作品です。
陳腐な言い方しかできないのが悔しいんですが、考えさせられる作品でした。自分自身、ことさら〈動物愛護〉を声高に主張する派じゃないけど、自分の中の自己矛盾をえぐり出されたような、そんな気分。動物をむやみに殺しちゃいけないのが分かっていながら、現実問題として、そういう犠牲がなければ日常生活が成り立たない。口に入れるモノ・肌につけるモノ・体に触れるモノ……動物実験なくしては成立しないモノに囲まれていながら、短絡的に「動物殺しちゃいかんよね」なんて言ってていいのか、と。実際、作品中でも、誰一人として明確な答えを出せていないんですよね。
でも、森さんの狙いは実はそこにあったんだと思います。
現実にふたをしちゃうんじゃなくて、現実をまず知ること。そして悩むこと。ものごと、そう簡単に答えが出せるものじゃないんだということ。そういったメッセージを、作品に込めているんじゃないでしょうか。作品の中でも、森さん自身、明確な答えを出しているわけではないし。「いや、答えは出してないものの、ある程度誘導はしてるんですけどね」なんてことも、後の懇親会で語ってましたが。
しゃべる森さん。
食べる森さん。近くの韓国料理店『チング』にて。
で、なんでわざわざ岡崎まで行っちゃったのか。
それは、森さんの作品を福井に引っ張ってこよう、と画策してるからなのですね。だって「NONFIX」って福井じゃ見られない番組だし。というか、フジテレビでも深夜3時台にオンエア、なんていう「見るな!」って言わんばかりの時間帯にオンエアだし。『1999年のよだかの星』に加えて、小人プロレスをテーマにした『ミゼットプロレス伝説~小さな巨人たち~』や、放送禁止歌をテーマにした『「放送禁止歌」~歌っているのは誰?規制しているのは誰?~』も引っ張ってこようと、画策しておるのです。
ひとまず「上映したいのです福井で!」という直談判は受け入れてくださったので(感謝)、今後、上映に向けて着々と計画を進めていく所存でございます。ご近所さんのカメラマン・T氏に言わせれば「あんた、そんなイベントやっちゃったら、その筋の方々にプスッと刺されますぜうひひひ」らしいですが。
(ちなみに書籍版『放送禁止歌』については、松岡正剛氏が自身のウェブサイトで超・詳細なレビューを書いていらっしゃいますので、よろしければご一読を)
それにしても、岡崎の街。
JRの駅に降り立ったら、こんな様相を呈してました。
がら~ん。
あ~れ~? 人口35万人の街の玄関口なのに……という疑問は後に解けることに。タクシーの運転手に聞いたところ、中心市街地は名鉄・東岡崎駅を核に広がっているとのこと。ううむ、そうだったのか。それにしても、この閑散ぶりは誤解のもとですぜ。4月からは岡崎を舞台にした朝の連ドラも始まるというのに。
それでも、駅前の喫茶店(あくまで、カフェ、ではない)に入ったら
コーヒーにピーナツ。
前々から話には聞いてたが、実際に遭遇するとちょっと感動。
author : カウベルてつこれであなたも“牛通”に! 世界の「牛ニュース」(β版)
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