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May 26, 2007

福井大学にて坂村健氏から薫陶を受ける

坂村健氏講演会リーフレット

〈大学・企業・県民に夢と勇気と感動を与える講演会シリーズ〉と銘打たれた、坂村健氏の講演会@福井大学 へ行ってきました。

数日前、別件で福井大学を訪れたとき講演会を知り、〈I/Oアスキーマイコン世代〉の私はガブッと食らいついてしまいまして。といっても「坂村氏=TRONを提唱した人」くらいの認識しかないし、ましてやBTRON使ったことがあるわけでもないし……で、ほとんど予備知識なしで会場に向かったわけです。


演題が『トロンプロジェクトが拓く、どこでもコンピュータの夢』だったので、TRONの話で終始するのかと思いきや、あに図らんや。TRONの話を引き合いにしつつ、「イノベーションの大切さ」を説くような内容でした。メモした内容をざっくり要約すると、こんな感じでしょうか。

TRONの仕様を一般公開しているのは「コンピュータの基本ソフトは、情報化社会のインフラである」との考えがあるから。道路がいい例だが「インフラでお金を取る」ことを考えると、社会全体が高コスト化に向かってしまう。
我が国は、要素技術イノベーション(単一の工業製品における技術革新)を考えるのは得意だが、インフライノベーション(例:金融・高速道路・インターネット・鉄道・電話……)を考えるのが苦手。「イノベーション」の定義を考え直すべき時期に来ている。
日本では〈技術革新〉がイノベーションと捉えられているふしがあるが、本当の意味でのイノベーションは〈制度革新〉なのである。技術の足し算をするのではなく、「何の目的で技術を使うのか」を明確にして(MOT=Management Of Technology)、必要となる技術を見極めること。つまり、技術の引き算で「社会制度そのものを変える」ことが重要だ。
〈技術革新〉と〈制度革新〉を対比させる一例として、『Suica』『PASMO』のような非接触型ICカードのシステムを挙げよう。技術的には多くのイノベーションが見られるが、IC読み取り部と磁気読み取り部、硬貨・紙幣読み取り部などの共存により、機器単価が非常に高額になっている。ICカードを持たない人に配慮するあまり、技術の足し算が図られてしまっているからだ。
では、「すべての人にICカードを配布する」と世の中の制度を変えるとどうなるか。駅やバスにはICカードリーダだけを置けばよいことになる。ICカードリーダなら、今や1万円程度から手に入る時代だ。機器の単価が格段に安くなり、結果的にインフラの低コスト化を進めることができるようになる。
シンガポールの「ERP」(電子式道路通行料金徴収システム)は、〈技術革新〉でなく「自動車すべてに車載器を設置する」という〈制度革新〉でインフラの低コスト化を図った好例といえる。
〈本物の革新〉にはロードマップはありえない。いつ、何が起こるか分からないからこそ革新と呼べるのである。

講演前は「坂村氏って Computer Architect」なんだろうなあと思ってたのですが、話を聞いてガラッと印象変わりました。この方は Society Architect というか Environment Architect なんだなあ、と。コンピュータ云々というレイヤーをすっ飛ばして、信念を持って情報化社会(←手あかの付いた表現ですが)のインフラを作ろうとしているんですよね。

もっとも、インフラづくりが一朝一夕には起こりえない、ということは、TRONプロジェクトの紆余曲折を眺めるとよくわかります。提唱から約四半世紀。今でこそ組み込みシステム向けOSとして高いシェアを獲得しているものの、それに至るまでの道のりは平坦でなかったわけですからね(『プロジェクトX 挑戦者たち - 家電革命 トロンの衝撃』に詳しい)。数多くの外圧を乗り越えて一つの物事に突き進む坂村氏の信念、すばらしいです。ホント。

いやあ〈大学・企業・県民に夢と勇気と感動を与える講演会〉とのサブタイトルはフェイクじゃなかったですわ。勇気玉もらいました。

author : カウベルてつ
編集日誌(ただし不定期) | May 26, 2007 20:34
 

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