::: COWBELL caffe | カウちゃんファイブ『16の布のかたち』

お出かけして、作品観て、そのまま帰る……うああ、もったいないことを！　せっかくだから、ちょっと寄り道してみてはいかが。カウベルが“当たり鼻”を利かせてピックした、ハズレなしのスポットガイドを公開、です。

超濃厚なシュークリームの衝撃――ベルジェ・ダルカディ

「菓子店らしくない雰囲気でしょ？」　店名の由来を尋ねたところ、こう返してくれたパティシエの牛若光三さん。ニコラ・プッサンの名画『アルカディアの牧人たち』に触発され、「限られた人生の中で、理想とする菓子作りを追求しよう」との思いから名付けたとか（本当は「アルカディア」にしたかったそうですが、某大手菓子店が商標登録していて断念……という裏話も）。

いわく、良質の菓子の三本柱は「味・香り・歯触り」。三つの均衡を保つようにと、材料を混ぜすぎないように作るのが“牛若流”。「混ぜれば混ぜるほど味が平均化して、歯触りのリズム感がなくなっちゃうんです」。スポンジのしっかりした、過剰なデコレーションのない菓子が多いのも食感重視の理由から。

そんな牛若さんが作るパティスリーの数かず。カウベルのおすすめは、2種類のシュークリーム「弁慶のなきどころ」「弁慶のちからこぶ」。ホワイトチョコやバタークリームを練り込んだクリームが練りこまれ、一口目から濃厚な味わいが広がる広がる！　とっておきのコーヒー（ティーでもよろしくてよ）と一緒に食べてみてくださいな。

［所在地］

福井県鯖江市柳町4-1-16
地図（MapFan）

［電話］

0778-51-0179

［営業時間／定休日］

9：00～19：00（日・祝は18：00まで）／毎週火曜日

［駐車場］

なし（店舗前路駐OK）

｜カウベル感涙の「弁慶のなきどころ」（右）。生クリームとホワイトチョコを混ぜ合わせたクリームは、常温にちょっとなじませると風味がいっそう増します。左の「弁慶のちからこぶ」とセットでぜひ。各200円

｜店内は2000年にリニューアル。「客の反応を常に確かめられるパティシエでいたい」と、牛若さんのプランで入口横に厨房を設置。仕込みの様子を眺めることもできます

看板に出ていない看板メニューとは、何ぞ？――トックリ軒

JR越美北線越前東郷駅からほんの1～2分、グリーンの外壁が異彩を放つ大衆食堂が『トックリ軒』。一見、ジモティに支えられている普通の食堂のようですが、ここ10年ほどは遠方の客も一気に増加。む、なぜ？　秘密は、この店の看板商品「ヒネ足」にありました。

鶏ヒネ足を素焼きして、しょうゆベースの澄んだスープをサッとかけた一品料理。二代目店主の石塚義照さんによると、この界隈では昔からヒネ足をこんなふうに調理しているとか。「なんで食べるようになったか、理由はわからんのやけどな」。ほどよい塩加減は、ごはんのおかずにも酒のつまみにもぴったり。

ウワサがウワサを呼んで、週末になると県外からの客も来るというから驚き。店の外にはヒネ足の“ヒ”の字も書いていないというのに。テイクアウトもOKということで、取材の最中にも予約の電話がひっきりなし。奥さん・咲子さんと次女・美那子さんがせっせと作っている姿が、ほほえましかったです。

［所在地］

福井県福井市東郷二ヶ町28-31
地図（MapFan）

［電話］

0776-41-0237

［営業時間／定休日］

11：00～14：00，16：30～22：00／毎週水曜日，毎月第3火曜日

［駐車場］

10台

text＋photo：モリカワテツシ