養浩館庭園 開園30周年記念「うつしよの庭/土屋公雄展」

6月17日から養浩館庭園で始まる現代美術展覧会のポスター、チラシ、図録を齊藤が担当いたしました。
世界で活躍する福井市出身の彫刻家、土屋公雄氏の作品集です。

土屋さんとは2000年の金津創作の森「樹齢三人展」で出会い、その時も齊藤が図録を担当いたしました。第一線の現代美術彫刻家の皆さんと一緒にする仕事にとても緊張したのを覚えています。20年を経て、もう一度お仕事ができるなんて、出会いは巡るものです。

3月末、土屋さんは養浩館庭園に本展用の作品をすべて持ち込み、事前撮影するという気合の入れよう。私たちも朝4時起き、5時には現地待機で日の出とともに撮影を行いました。ポスター、チラシのメイン写真はその時の撮影のものです。

丸2日間の撮影で作品を撮り切らねばならず。ありがたくも撮影ディレクションを私に任せていただき、コンセプトに合わせた構図、必要な背景、個々の作品が良く見える位置からの角度指定、などとても細かく指示しました。根気よく、そして私の指示をもっとくみ取って素敵な写真に仕上げてくれたたとり直樹カメラマンに大感謝です。

制作にあたり、何度もミーティングを重ね土屋さんの作品意図を聞き出しました。「あの世とこの世」、建物から池が一直線になる「連続性」「水平性」、半眼のような建物…、というキーワードと、夜明けの撮影時に感じた「ココは一体どこなのだろう」という感傷からコピーライティングを考えました。それが「ここはこのよでとこよはどこ」です。 

平仮名の羅列は区切りがないこと、境目がないこと、この世(現世)と とこ世(あの世)の言葉遊びを交えました。

チラシとポスターの写真は、寄りと引きの2つの見方を提示したくて変えました。

タイトル「うつしよの庭」に斜めの線を入れるのは、私のアイデアですが大もとは土屋さんの助手である方が図録の打ち合わせの際に「鏡と反転、そのズレがコンセプトになるのでは」というアドバイスをいただいたのがきっかけです。

撮影:たとり直樹(スタジオ壱景) デザイン:持金隆介(トランキーロ) 制作ディレクション:齊藤理子